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タコアシ、漏電怖くない(接触不良と容量オーバーを怖がりましょう)
一般的に電気は目に見えないからと怖がってくれます。便利なものですが時と場合によっては火災の原因となり、死亡事故につながることもあります。
しかし、30年以上も電気工事に従事している経験から言いますと、タコアシ、漏電は巷で言われるほど怖いことではありません。
タコアシにしても、イカアシにしても、そのもの自体は問題ありません。全体的電気容量と接触不良の問題で
す。ただ、一般的には何がどれだけの容量かが解らないので、便宜的に言われている言葉なのです。
漏電にしても、漏電そのものはどうということもありません。漏電していない電気器具は無いはずです。電気は空中も伝わります。普通家庭の100V電源なら裸電線と1mm離れていれば全く感じませんが、雷は絶縁物といわれる空気中10kmもある空気層を突き抜けて地上に落下してきます。これまた途方もない電圧のせいです。ばい菌にせよ、毒物にせよ量の問題といえます。
タコアシや漏電よりも怖いのは接触不良です。
ねじり合わせ、締め付け不良のほうが危険です。定格以下の細い電線を使うのも危険です。理由原因不明の出火は漏電にされてしまうことがあるようですが、実際には他の理由による場合が多いと思います。
大きな漏電は勿論怖いことです。5Aとか10Aという漏電は問題です。コタツ1台またはエアコン1台分の電気が、電線以外のところを流れている事になります。電線より抵抗が大きいものを通るので勿体ないどころではなく、その電力は熱に変身して出火源になります。
このような場合、漏電ブレーカーが自動的に遮断してしまうので、これで安全ということになります。問題はこれも程度問題なのです。漏電ブレーカーの感度電流は普通30mAから500mAまであります。感度はいい方がいい、と言うことで普通、高感度の30mAのものが設置されてあります。漏電ブレーカーは、その特性からして定格電流の半分からトリップ(感じて落ちる)しますので、高感度の30mAタイプは15mAで作動してしまいます。
普通、大元の分電盤は回路が6回路以上あります。このような小型分電盤はよいのですが、家庭用以外の分電盤は20回路30回路以上あります。漏電ブレーカーは2次側の合成の漏電電流で作動しますので、1回路1mAという(絶縁計で規則上良いとされる0・1MΩ)数値でも15回路以上の漏電が合成されれば主幹の漏電ブレーカー作動してしまうのです。
電気器具は経年変化で絶縁が落ちていきます。冷蔵庫、冷凍庫、ショウケース、屋外機器は漏電しやすいものです。多少漏電したからといってその都度、機器そのものを交換するのは大変です。私の経験からですが100A以上の分電盤は100mAの感度電流のものをつけておくべきだと思います。
そして漏電の可能性のあるものには、アースをとっておくとさらに安全です。アース線をとっておくことにより、万一漏電しても大半の電流がアース線に分流してしまうからです。
「消火器」といっても一般的に出回っている粉末消火器の事です。
これについての書類上の維持管理は大変面倒です。製造年3年までは外観検査でよいが、それ以降はロット毎に分け、その数量により6ヶ月毎にそれぞれ5%、10%、又は20%を開けたり閉めたり、出してみなさい、というのがおよその内容です。
実際にその通りやると大変な手数です。手数がかかるだけでなく、あるロットが1〜2本だったり、また100本以上の大きなロットが同一製造年であって、古い順などと敢えて区分したりするとおかしな事になります。
問題はあえて、そのとおり実施した場合のことです。実質的意味は殆どありません。昔、粉末でなく、水で重炭酸ナトリウムを水に溶かしていた泡消火器なら。薬剤が経年変化で分離するので1年ごと詰め替える意味はあったのですが、粉末消火器の場合、経年変化による劣化は、10年程度ですと殆ど認められないのです。このことはメーカーが一番よく知っています。
また30年以上経験のある同業者の殆どが長い経験から、屋内に設置したまま10年経過した消火器が、新品同様の機能をもつこと、かえって途中で開封点検したものや、詰め替えたものに、マレに不具合が出ることを知っています。こういうと「業者の点検の仕方がズサンだからだろう、厳重に監視し書類と、罰則を増やさなければ」と目を光らせる行政官がいそうですが、そういうことではないのです。
そもそも、密閉容器内の薬剤が何で変化するか、化学的、科学的に検証するべきです。一般的にいわれているのは、水分を発生し、粉末に粘りを生じると噴射口から噴射しなくなる。ということが理由の一つとされているようですが、薬剤が加熱分解し、水分を発生する温度は通常の温度ではありません。輻射熱で触れないほど加熱した、ボイラーの近くに置いた場合の消火器ならともかくです。そもそも消火器はそのような近くに置くものではありません。また、外部からの湿気の侵入という事も封印状態からも考えられず、一方薬剤そのものの防水性、撥水性は大変なもので、一昼夜水に浮かべておいても、水に溶けずサラサラ浮いているすぐれものです。消化剤の劣化の原因とされているものに湿気、水分の他に、もう一つ重力による、薬剤の硬化現象があるといわれています。それで以前ポリカーボネート性の半透明の容器の家庭用消火器がありました。時々覗いて振ってみたらというのです。この種の消火器がその後なくなってしまったのは大した意味が無かったためではないかと思います。
薬剤の硬化程度を調べるのに、マニアルによる精密粉検査の判断方法はケーキングです。ケーキングとは計器を使うのでは無く、ケーキを造るとき小麦粉などを握るように手で握って見る検査です。握った後ほぐれたら、○。固まったままだったら、×ということなのです。お笑いです。握ってはなしたら餃子のように固まっていた、というようなものは見たことがありません。理論的には粉末状のものでも、大きな重圧を掛ければ固まり、流動生を失う事はありえます。岩盤などがいい例です。溶岩の他火山灰や、砂が重圧で固まって、岩や板になっています。これは圧力のケタが違います。
通常の消火器の大きさは、高さにして50cmです。薬剤がこの比重と高さで粉末としての流動性を何年で失うものか、計算上、または実験によるデーターなど無いと思います。
仮にあったとすると、奇異な事が起こります。小型消火器より、大きな消火設備のタンク内の底部の薬剤はさらに大きな荷重がかかりますが、小型消火器のような薬剤の検査方法は規定されていないのです。何でだろう、と思います。
結論をいいますと粉末消火器の場合、外観状保存状がよければ製造年約10年は使用した物以外はよけいなことはせず充分に使用に耐えます。ただし、法的に設置が義務つけられている場所においては規則のための規則を満足するために意味のない手数をかけることになります。つまり、消火器の維持点検は消防業界特有の机上論理の産物なのです。
こういう関係の監視役は消防署の予防課の職員の職責ですが、良識ある方なら「立場上いいとは言えないけれどなるほど、実質的意味はないな」と思っているはずです。
こういう、裏付けのないものが消防行政には数々あります。例えば、設置させてはみたもの、使えない小さな階の消火栓。
消火栓の補助水槽などにしても0.5トンまたは1トン以上の水量がいる、といっても形状規定もないし、物理的意味から深さ幾ら以上、また水量は幾ら以上、これはこのような計算及び実験データーからのものなので、そうしなさい。と言うことではないのです。 因みに、3〜40年間に消火器の主流は泡消火器から粉末消火器になりましたが、先進国ではすでに粉末消火器は過去の形で、強化液や泡、ガス系の消火器が主流と聞きました。よくある消火実験で、オイルパンに水を張り、ガソリンを浮かべた表面火災でしたら粉末消火器で劇的に消えますが、部屋内ですと後が粉だらけになったり、再燃したりするのが粉末消火器の弱い点です。現在の所、万能型という消火器はありません。状況により機種を選択して設置するのがいいのです。
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